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家具工房岡本メールマガジン 〜 新しく生まれた家具 その生い立ち 〜 |
2004/06/27発行 vol.7 |
クリ李朝風ちゃぶ台が出来ました。 |
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暑い空気がまとわりついてくるような天気が続きますがいかがお過ごしでしょうか。梅雨が開けた直後の太陽はもっと容赦ないですよ。これぐらいで音を上げてはいけません。お互いがんばりましょう。 |
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★目次★
1.今回の新作家具 2.使った木 3.どんな加工をしたか 4.仕上げ 5.製作エピソード
6.あなたにこの家具をお作りします。 7.編集後記 |
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1.今回の新作家具 = クリ李朝風ちゃぶ台 = サイズ:φ670 H240
家具工房岡本の定番になるちゃぶ台のお披露目です。
第一印象は「なんだこの色は?」でしょうか。ちょっと変わった塗装をしてるんですよ。
それはさておき、格好いいでしょう?色っぽいでしょう?
しかも天板の厚みは11ミリ、全体に薄板を使っているのでとても軽いです。
こんな小さな写真じゃわからん!という方はホームページをご覧ください。
小粒な家具ですがいくつもの技、膨大な手間が凝縮されています。
それでは今回のメルマガもじっくりお読みください。
大きな写真と李朝家具についての説明はホームページで→ http://kaguoka.com/
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2.使った木
群馬産のクリを使いました。テレビ台type6のときにお話したものと同じです。
大手材木屋の駐車場に転がっていたのに目が止まって挽いてもらったという代物です。
いわばいじめられていたカメを助けた浦島太郎のようなイメージです、わたしとしては。
岩手のクリも手元にあるのですがどれも厚板でそれを今回のような薄板に削って使うのは勿体ないですね。 |
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3.どんな加工をしたか |
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(1)幕板の曲げ加工
(2)天板の縁取り
(3)折り畳み式の脚のしかけ
など語るべき加工はいつにも増して多いです。順を追ってご説明しましょう。
(1)まず曲げ加工です。木を曲げる方法はいくつかあります。主だったものとしては
(a)積層曲げ
(b)挽き曲げ
(c)熱曲げ
などが挙げられます。
(a)の積層曲げは天童木工がよく知られていますが他にも多くの家具に利用されています。薄板に接着剤をつけ型にはめて曲げる方法で合板を作るのと同じ原理です。
この曲げ方は型から外した後も曲げ率(アール)が変化しない、また曲げた木自体に強度があるというメリットがあります。
(b)挽き曲げというのは曲げようとする木の内側にノコで挽き目を入れて曲げる方法です。弁当箱などのコーナーをこうして曲げているのをよく見かけましたね。家具にはあまり使いどころがないかな。
そして今回やった蒸材法が含まれるのが(c)の熱曲げです。熱曲げには冷やして曲げる(水につけて曲げる)方法もあるのですが、曲げられる木や曲げ率などが限定されます。
木材は熱するとよく曲がります。直火に当てて曲げることもあるし、電子レンジに入れて木材内部から発熱させて曲げることもできるんですよ。あまり大きなものは入らないですけど。
蒸材法は木をシューマイのように蒸篭(せいろ)に入れて蒸気で熱して曲げる方法です。手順はつぎのとおりです。下準備として一晩、木を水に浸けておきます。
わたしは風呂に放り込んでいます。今回はクリを使ったおかげで水がまっくろになりました。その風呂桶を洗うのは奥さんの仕事です…。申し訳ない。たっぷり水を吸った状態が@です。
次に合板で作った蒸篭の中に蒸気がまんべんなく当たるよう木を桟積みします(A)。
そして水をたっぷりいれた鍋の上にセットしてストーブをガンガン焚きます(B)。蒸気が出ているのがわかるでしょう?これが暑いんですわ、いまの時期。なんでいまごろストーブ燃やすのと自問してしまいます。サウナ状態。
2時間ぐらい蒸したらヤケドしないように1本ずつ取り出してすばやく型にはめてクランプ(締め具)でギュウギュウに締め上げます(C)。
十分に時間を置いて(1日放置)、型をはずせばこの通り曲がってます(D)。
正直、クリを曲げるのは難しいんですよ。ブナやナラは曲げやすいんですが、木の性質によるんですね。
だから今回曲げる途中で割れた木がけっこうたくさんあって辛かったです。 |
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(2)つぎに天板の縁取りです。
どういう状態になっているかというと、円周部分が内部よりも一段高くなっているわけです。
段のところを後から接着剤で貼り付けて高くしているのではないですよ。内部を掘り込んでいるのです。
まっ平らな面を作るだけに比べてどれほど手間がかかるか想像できますか?
加工方法は最初に天板外周より10ミリほど半径の小さい円を掘ります。次にそれよりやや小さな円を堀るということを繰り返します。
そうして仕上げは手鉋(てがんな。手で鉋をかけること。)でひたすら削って平面を出すのです。
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(3)そして折り畳み式の脚のしかけです。
木製(当然クリ)の突起を押してたたみます。開くときにはカキッと心地よい乾いた木の音がして定位置にしっかりと固定されます。
内部にはバネを仕込んでありますが、開閉時に突起部分が飛び出してこないよう突起と穴のサイズ、深さを微妙なバランス関係で加工してあります。
出来合いの金物を使わなくとも粋なしかけを作れるもんです。
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4.仕上げ
クリは他の木に比べてタンニン分を多く含みます。
今回はその特性を生かして黒サビを反応させ、自然で味わい深い淡い紫色に染め上げました。
自分で黒サビ染と名づけた着色法です。
ワビ、サビの世界と言いましょうか、市販の塗料には絶対出せない味です。 |
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5.製作エピソード
製作スケジュールとしてはホームページにあるように「クリちゃぶ台モダン」を先に作るつもりでした。現に天板はこのちゃぶ台を作る前にはぎ合わせ済みです。
にもかかわらず好奇心が刺激されというか、これだけ中身の濃いちゃぶ台を作ろうといったん決めてしまうと各工程をどう作っていけばいいのか頭から離れなくなってしまいました。
そして結局予定を前倒ししてこのちゃぶ台の製作に没頭したというわけです。 |
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6.あなたにこの家具をお作りします。
あなたの生活に欠かせないアイテムとして使い込んでくだされば本望です。
日本酒好きの方がとっくりとおちょこを並べ、干し魚かなんかを酒の肴にちびりちびりというのがわたしの思い描くこのちゃぶ台の使用状況ですが、
独身の方の1人膳(ダンボールをテーブル代わりにして食事をしているって方もいらっしゃるでしょう?昔のわたしがそうでしたから。)
あるいは新婚カップルの2人膳(ほどよい近さでお食事できます。レトロな食卓風景がかえって新鮮。)にもいかがでしょうか。
精魂込めて1台12万円でお作りさせていただきます。
ちゃぶ台としては高いと思われるかも知れませんがクリを使い、これだけの技が凝縮され、相当な手間がかかっているのです。それだけの値打ちはあります。(キッパリ!)
このデザインであれば漆塗りで仕上げてもよいでしょう。ご相談に乗ります。
→お問い合わせ・ご注文メールはこちらから。 |
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7.編集後記
憧れのエッグチェアーに座ってきましたよ〜!
納品の帰り、車で前橋を走っていてふと視線を上げた先のショーウィンドウの中に赤いエッグチェアーを見つけたのです。これは素通りする手はないとすぐに車を停め、店内に。同じくヤコブセンのスワンチェアやセブンチェア、ウェグナーのYチェアも置いてあり、全部座ってみました。
材質や座り心地を確かめ疑問点を店員に尋ねていると「家具にお詳しいんですね」。適当にごまかしていよいよ「このエッグチェアに座ってみたいのですが」と切りだしました。
あのフォルムだから一段上がった陳列スペースから抱え込むようにして下ろしてくれたのですが、意外にも重くはないようです。写真で見るとかなり重そうですがね。
そしてゆっくりと球体の中に身を沈めました。想像どおりの包み込まれる感覚はあったけど、赤の布張りでわたしの憧れの黒レザーでないからかあまり重厚感はない。
あと、座ってみてわかったのはリクライニングができるということ。背面が壁のようで自分の世界ができる(自分の殻に閉じこもる、だから卵=エッグか!)上にこれだけ体を預けることができれば身も心も安らぐなあと実感しました。
そしてまた聞いてみました。 「革張りだとおいくらですか?」 「消費税込みでおよそ105万円です。」 「…。」
(この赤の布張りエッグには50万円の値札がついていました。)
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